目次
はじめに
持続化補助金の概要、対象事業者、支援内容、申請方法、選定基準について詳しく解説します。持続化補助金は、中小企業や個人事業主が持続的な経営を実現するための重要な支援策の一つです。この機会に持続化補助金の概要を把握し、ビジネスの発展に役立ててください。
持続化補助金(小規模事業者持続化補助金)とは
公募要領によると小規模事業者が自社の経営を見直し、自らが持続的な経営に向けた経営計画を作成した上で行う販路開拓や生産性向上の取組を支援する制度です。
意訳をすると、「割と小さめの会社や個人事業主が、自社の置かれている状況や自社の強みなどを見直して、これからも継続して経営を行うための経営計画を立ててください。その経営計画を事務局で審査しますので、審査に通れば、その経営計画の中で行う新規顧客獲得や業務効率化の取り組みに対して金銭的な補助をしますよ」といったところですね。
最大の補助金額は250万円です。最大の補助率は3/4です(基本は2/3です)。
通常枠が50万円であり、それにプラスしていろいろな要件をクリアすることが出来れば、補助金額が上乗せされていきます。
この補助金額が示しているのは全体の経費ではなく、返ってくる金額のことです。
下記の図のように、経費として375万円利用した場合に2/3の250万円を補助してもらえるということです。
じゃあ、どんな要件をクリアすれば上限額が増えるの?という声が聞こえてきそうですね。
通常枠以外の下記に該当すると、補助上限がアップします。
・賃金引上げ枠
・卒業枠
・後継者支援枠
・創業枠
そして、2021年9月30日~2023年9月30日の間で一度でも免税事業者であり、インボイス制度に対応する事業者はさらに+50万円の補助上限額が付与されます。
要件を満たすことの証明として、それぞれ別途申請書類が必要になってくるので、その点もご注意ください。
スケジュールについて
この補助金制度は2020年から始まっており、現在は第12回の受付中です。(2023/4/3現在)
現在告知されている受付締切は、下記の通りです。
第12回 2023年6月1日(木)
第13回 2023年9月7日(木)
申請前にgBizIDの取得が必要(新規は2~4週間かかる)だったり、商工会・商工会議所に事業計画を見てもらう(1週間前までに)など、意外と時間を要するので、せめて受付締切の1か月前には取り掛かり始めたいところですね。
対象事業者
持続化補助金の対象となる事業者は、中小企業や個人事業主で、次のような条件を満たしていることが求められます。
- 小規模事業者であること
- 大きい企業に株式を保有されていないこと
- 3年間の平均課税所得が15億円を超えていないこと
- 既に持続化補助金の採択を受けて補助事業を行った場合、その事業が終わっていること
- 既に持続化補助金の「卒業枠」で採択を受けて補助事業を行っていないこと
- 1年以内に効果が出そうな新規顧客獲得の取り組みを行うこと
- マージャン店・パチンコ店・ゲームセンター店等、性風俗関連特殊営業などのような
射幸心をそそるおそれがあったり、公の秩序もしくは善良の風俗を害することとなるおそれがあるものはNG - 営利法人や個人事業主であること(一般社団法人などは対象外)
- 特定非営利活動法人の場合は認定特定非営利活動法人でないこと
割とかみ砕いて書いたので、詳細な内容は公募要領のP5あたりをご覧ください。
https://r3.jizokukahojokin.info/doc/r3i_koubo_ver7.pdf
なお、小規模事業者の定義は下記の通りです。建設業や運送業は「製造業その他」に属します。
「常時使用する従業員」のくくりに関しては少し複雑なので、別紙参考資料のP2あたりをご覧ください。
https://r3.jizokukahojokin.info/doc/r3i_sanko_12.pdf
全体の流れ
全体の流れとしては、下記のようなイメージです。
この、①申請の準備が圧倒的に大変なんですよね。様々な書類を準備して、事業計画を書いて、、、といったことを行います。
申請に必要な書類
必要な書類は下記のとおりです。多いですよね。
国の税金を使っているので、必要な事業者だけに補助金を出すためにはしょうがないということでしょう。
※補助金の申請は郵送の申請と電子申請(jGrants)があるわけですが、電子申請でなければ減点されてしまう上に、必要な書類が増えるので、電子申請をおすすめします。
なお、この経営計画書兼補助事業計画書①(様式2)、これに経営計画を記載します。下記がそのひな形です。
このひな形2枚に対して、経営計画を最大8枚まで使って準備をします。
補助内容
持続化補助金では、販路開拓や生産性向上(新規顧客獲得・業務効率化)に伴う経費を支援します。具体的には、次のような経費が対象となります。
-
オンライン販売の強化
インターネットを利用した販売チャンネルの開拓は、多くの企業が取り組む販路開拓の手法です。自社のECサイトやオンラインマーケットプレイス(Amazon、楽天市場など)を利用し、幅広い顧客層に製品・サービスを提供します。 -
チラシやロゴ、看板の作成
地域密着型で店舗を出しているビジネスの場合、集客効果が最も期待できる手段の一つです。 -
新規事業の開始
既存の事業領域以外に新たな事業を展開することで、新しい顧客層や市場にアプローチします。新規事業は、関連する既存事業をベースに展開することで、顧客層の拡大やブランド力向上が期待できます。 -
顧客管理システムの導入
見込み客を検索できるシステムや、顧客との商談の進捗管理やメールマーケティングを行うためのシステム導入により、新規顧客開拓が期待できます。 -
イベントや展示会への出展
イベントや展示会に出展することで、ターゲットとなる顧客層と直接コミュニケーションを図り、製品・サービスをPRできます。これにより、新規顧客の獲得やリピーターの増加を期待できます。 -
マーケティング活動の強化
SNSや広告、PR活動などを通じて、ブランドや製品・サービスの認知度を高め、新たな顧客層を獲得します。効果的なマーケティング活動は、販路開拓に大きな影響を与えます。
上記のような取り組みは一例であり、まだまだ対象となる経費はたくさんあります。
申請方法
持続化補助金の申請は、通常、以下の手順で行われます。
-
該当判定
まず、自社が持続化補助金の対象となる事業者であるかどうかを判断します。持続化補助金の公式ウェブサイトや関連資料を確認し、対象事業者の条件に自社が合致するかを確認しましょう。 -
事業計画書の作成
事業計画書は、持続化補助金申請のための重要な書類です。具体的な事業の目標や計画、環境・社会課題への取り組みなどを明確に記載しましょう。事業計画書が選定基準に適合しているかどうかが、申請の成否に大きく影響します。 -
書類の準備
申請に必要な書類を準備します。書類には、事業計画書や、過去の決算書・試算表などが含まれます。必要書類は申請する枠や事業者ごとに異なるため、事前に確認しましょう。 -
gBizIDの取得
gBizIDは、持続化補助金の申請に必要です。gBizIDの公式ウェブサイトから、事業者がgBizIDを取得する手続きを行います。取得には、事業者情報や代表者情報の入力が必要です。発行までにおよそ2~4週間かかるので注意が必要です。 -
商工会・商工会議所での面談
持続化補助金の申請には、事業者が所属する商工会や商工会議所での面談が必要です。面談では、ある程度出来上がった事業計画書を持参し、内容についてのアドバイスを受けた後、申請に必要な書類「事業支援計画書(様式4)」を発行してもらいます。 -
jGrantsでの申請
jGrants(ジェイグランツ)は、政府が提供する補助金・助成金の申請・管理を行うオンラインシステムです。持続化補助金の申請は、jGrantsを利用して行います。申請に必要な書類をアップロードしていきます。書類がアップロードされた後、申請が受理されると、審査が開始されます。
審査基準
持続化補助金の選定に関わる審査基準では、以下のような点が評価されます。
◆基礎採点
次の要件を全て満たすものであること。要件を満たさない場合には失格とし、その後の審査は行われません。
①必要な提出資料がすべて提出されていること
②「2.補助対象者」(P.5)・「3.補助対象事業」(P.6) ・「4.補助率等」(P.7)・「5.補助対象経費」(P.13)の要件及び記載内容に合致すること
③補助事業を遂行するために必要な能力を有すること
④小規模事業者が主体的に活動し、その技術やノウハウ等を基にした取組であること
◆書面審査
経営計画書・補助事業計画書について、以下の項目に基づき加点審査を行い、総合的な評価が高いものから順に採択を行います。
①自社の経営状況分析の妥当性
○自社の経営状況を適切に把握し、自社の製品・サービスや自社の強みも適切に把握しているか。
②経営方針・目標と今後のプランの適切性
○経営方針・目標と今後のプランは、自社の強みを踏まえているか。
○経営方針・目標と今後のプランは、対象とする市場(商圏)の特性を踏まえているか。
③補助事業計画の有効性
○補助事業計画は具体的で、当該小規模事業者にとって実現可能性が高いものとなっているか。
○販路開拓を目指すものとして、補助事業計画は、経営計画の今後の方針・目標を達成するために必要かつ有効なものか。
○補助事業計画に小規模事業者ならではの創意工夫の特徴があるか。
○補助事業計画には、ITを有効に活用する取組が見られるか。
④積算の透明・適切性
○補助事業計画に合致した事業実施に必要なものとなっているか。
○事業費の計上・積算が正確・明確で、真に必要な金額が計上されているか。
※過去3年間に実施した全国対象の「小規模事業者持続化補助金」で採択を受けて補助事業を実施した事業者については、全体を通して、それぞれ実施回の事業実施結果を踏まえた補助事業計画を作れているか、過去の補助事業と比較し、明確に異なる新たな事業であるか、といった観点からも審査を行います。
※より多くの事業者に補助事業を実施いただけるよう、過去の補助事業(全国対象)の実施回数等に応じて段階的に減点調整を行います。
※補助金申請システム(名称:J グランツ)を使用せず、郵送で申請を行った事業者に対して、減点調整を行います。
◆加点審査
◎重点加点
①赤字賃上げ加点
賃金引上げ枠に申請する事業者のうち、赤字である事業者に対して、採択審査時に政策的観点から加点(=赤字賃上げ加点)を行います。
②事業環境変化加点
ウクライナ情勢や原油価格、LPガス価格等の高騰による影響を受けている事業者に対して、採択審査時に政策的観点から加点(=事業環境変化加点)を行います。
③東日本大震災加点
東京電力福島第一原子力発電所の影響を受け、引き続き厳しい事業環境下にある事業者に対して、政策的観点から加点(=東日本大震災加点)を行います。
◎加点
①パワーアップ型加点
○地域資源型
地域資源等を活用し、良いモノ・サービスを高く提供し、付加価値向上を図るため、地域外への販売や新規事業の立ち上げを行う計画
○地域コミュニティ型
地域の課題解決や暮らしの実需に応えるサービスを提供する小規模事業者による、地域内の需要喚起を目的とした取組等を行う計画
②経営力向上計画加点
各受付締切回の基準日(別紙「参考資料」のP.9を参照)までに、中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」の認定を受けている事業者に対して、採択審査時に政策的観点から加点(=経営力向上計画加点)を行います。
③事業承継加点
各受付締切回の基準日(別紙「参考資料」のP.9を参照)時点の代表者の年齢が満60歳以上の事業者で、かつ、後継者候補が補助事業を中心になって行う場合、採択審査時に政策的観点から加点(=事業承継加点)を行います。
④過疎地域加点
過疎地域という極めて厳しい経営環境の中で販路開拓等に取り組む事業者を重点支援する観点から、「過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法」に定める過疎地域に所在し、地域経済の持続的発展につながる取組を行う事業者に対して、採択審査時に政策的観点から加点(=過疎地域加点)を行います。
注意点
ただし、持続化補助金の申請に際しては、以下の点に注意して頂く必要があります。
-
申請期間を確認
公式ウェブサイトや関連情報をチェックし、申請期間を逃さないように注意しましょう。 -
補助金を使った取り組みは、採択・交付決定されてからでなければ、発注や契約行為を行ってはいけません。
補助金対象経費として申請出来なくなってしまうので要注意です。(全て自費負担で行うことになってしまいます。) - 補助金は実績報告後に入金されます。
補助金が入金されるまでは全て自費負担を行う必要があるため、一時的なキャッシュフローの悪化に要注意です。
「スマホで事業計画」のご案内
持続化補助金は、中小企業・個人事業主が持続的な経営を実現するための重要な支援策です。持続化補助金を上手に活用し、事業の改善・拡大につなげてください。
なお、弊社では申請に係る作業の中で最も大変な事業計画策定のサポートを行っております。
持続化補助金の申請作業を10倍ラクにする「スマホで事業計画」です。
スキマ時間を活用してスマホで質問に回答するだけで事業計画の策定が出来ますので、下記のサイトから詳細をご覧いただけますと幸いです。