目次
はじめに
もし「DXって何?」と聞かれた場合、あなたは何と答えますか?
はじめまして。奈良県のITコンサル会社「株式会社パレットテクノロジーズ」の阪本です。
数年前より 【DX】 という言葉が使われるようになり、2023年の現在においては一般的に用いられるようになってきましたが、DXという言葉の意味については、100人いれば100人が違う想像をするのではないでしょうか。
【好きなタイプは優しいひと】と言われたときに想像する【優しいひと】くらい千差万別です。
わたしにも、「それってDXって言わないんじゃない?」とDX警察をしている時期がありました。
でも、今となっては「デジタルを活用すること = DX」という風に、とても広くとらえるようにしています。
特に、DXの支援をする立場のわたしたちは、支援先の方が仰る「DX」の意味を正確にとらえて、その期待に応えていくことが重要だと感じています。
また、世の中に出回っているDXについての記事は、かたくるしいものが多く、聞きなれない言葉が多く使われています。
きっと記事を書かれている方の多くは、【情報を正確に伝えること】に重きを置いているのではないかと推測します。
「複雑でややこしい内容を正確に伝えることは、かえって理解しにくいものになる」
という現象が起きており、「何だかよくわからないなぁ」という印象を読み手に与えてしまっています。
本記事では、DXとは何かについて、ITにあまり詳しくない方でも理解しやすいように解説していきます。
そのため、ざっくりとした表現も多くなりますが、イメージはつかんでもらえると思います。
他の記事とは違った視点でのお話もしていきますので、最後までご覧いただけると嬉しいです。
そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)とは?
経済産業省による定義
まずは経済産業省が発行している「デジタルガバナンスコード実践の手引き2.0」から抜粋した内容を記載します。
(が、覚えなくていいです。)
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
*競争上の優位性とは … コスト面での優位性や、品質面での優位性、ブランド面の優位性など、様々な観点で競合他社よりも優れているところ。
例として下記のようなDXの例がよく挙げられます。
・本屋から電子書籍の販売店となったAmazonの例。
・今までは目視で品質検査をしていた工程を、センサー検知にすることで大幅に工数を削減し、品質も向上した製造業の例。
分解して理解を深める
経済産業省による定義は、漏れなく表現していて、文句をつけるつもりはないのですが、もう少し詳しく分解してみると、もっと分かりやすくなります。
DXは【攻めのDX】と【守りのDX】に分けることが出来ます。
攻めのDX … 新しい製品や新しいサービスを開発し、売上Upにつながるようなもの。
守りのDX … 業務効率化やリスクを減らすことで、既存ビジネスをより効率的で安全に運営する為のもの。
攻めと守りはどちらが難しい?
これは、圧倒的に【攻めのDX】です。
攻めのDXは外向きの変革です。守りのDXと比べて、影響する外部要因が非常に多くなります。
もちろん、セキュリティ面でもより厳しい基準をクリアする必要が出てきますし、何より市場ニーズの把握と競合他社の存在がありますので、非常に難しいです。
DXとIT化(デジタル化)の違い
さて、ここまでDXの概要についてのお話しをしてきましたが「いわゆる【デジタル化】とは何が違うんだ?」という声が聞こえてきましたね。
結論から言うと、デジタル化はDXのうちの一つと思ってもらってOKです。
先ほど、攻めのDXと守りのDXのお話をしましたが、デジタル化は守りのDXの方に分類されます。
そして、DXには三段階のレベルがあります。
レベル1 … デジタイゼーション(覚えなくていい)
レベル2 … デジタライゼーション(覚えなくていい)
レベル3 … デジタルトランスフォーメーション
※書類をPDFなどにデジタル化することはレベル1で、センサーに品質検査をさせるのはレベル2といったイメージです。
冒頭にお話しした、「人によってDXで思い浮かべる意味が違う」というのは、「人によってレベル1~3のどれをDXと言っているのかバラバラ」だからです。
システムを導入して業務効率化することを【DX】と言っている人もいれば、BtoBの事業からDtoC(BtoC)の事業に変更することを【DX】と呼ぶ人もいます。
*DtoCとは … Direct-to-Consumer(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)の略。製品やサービスを製造業者が直接消費者に販売するビジネスモデル。
なので、「デジタルを活用すること = DX」くらい広い意味でとらえておき、対話する相手のイメージと合わせてお話しするようにしています。
なぜDXが重要視されるのか
DXが重要視される理由は以下の3点です。
・労働人口が減り続けるから。
・Amazonみたいな、でかい海外企業が仕事を奪っていくから。
・新たな製品やサービスの出現により、新しい仕事が生まれるから。
DXが重要視される理由については、経済産業省発行の「デジタルガバナンスコード実践の手引き2.0」でも触れられています。
あらゆる産業において、新たなデジタル技術を利用してこれまでにないビジネスモデルを展開する新規参入者が登場し、ゲームチェンジが起きつつある。こうした中で、各企業は、競争力維持・強化のために、デジタルトランスフォーメーション( DX )をスピーディに進めていくことが求められている。
*ゲームチェンジ … ビジネスの従来の枠組みやルールが崩壊し、新たなものに切り替わることを意味する 。
「ゲームチェンジ」は、大企業のビジネスや最先端技術領域等の場に限ることなく、わたしたちの生活や、地域のビジネスの場等の身近なところでも起こっています。
例えば、ネット通販や動画配信サービスの出現により、街の書店やCD・レコードショップ等は、大きくその数を減らしました。
また、フィルムカメラの需要を激減させたデジカメも、近年では、スマートフォンのカメラの高性能化により使われる機会が減少する一方で、
スマートフォンで撮った写真や動画データを利用した多数の新しいサービスが日々生まれています。
AmazonがKindleを出したことで、わたしは紙の本を持ち歩かなくなりました。雑貨のほとんどはAmazonで購入しています。
海外のサービスによって、従来の日本のビジネスは危機に瀕しています。
だからこそ、日本企業みずからがDXにより、ゲームチェンジャーに負けないようにする。むしろ、ゲームチェンジャーになるということが重要になってきます。
ゲームチェンジの話では、攻めのDXのような難しさを感じますが、難しく考える必要はありません。
デジタルによる業務効率化で価格競争力をつけたり、高い品質を維持すること、顧客との関係性を強化すること、守りのDXでも競争力をつけることができます。
DXに効果があるシステムのご紹介
さてさて、DXを実現するためには、どういうシステムを導入したらいいのか、気になりませんか?
まず一般的に、システム導入には大きく2つのパターンがあります。
・スクラッチ開発
・パッケージ導入
この2つは、それぞれ良いところがあります。
スクラッチ開発は業務に合ったシステムを導入することになるので、業務負担が少ないですが、高額になりがちです。
一方で、パッケージ導入は安いけど柔軟性や拡張性が低いという面もあります。
この2つのどちらが良いか論争はたびたび行われるのですが、結論としては「企業による」というのが答えだと思います。
かくいう私も、パッケージやSaaSといった、既製品を導入して業務をそれに合わせていくのが正だと思っていました。
そして、企業独自の強みを発揮する部分についてはカスタマイズを行うべきだと。
この考えは間違ってはいないのですが、実際にシステムを使う人が「デジタルに比較的強い・資源がたくさんある」等の前提が必要なことに気が付きました。
中小企業の皆様を支援していく中で、既製品のシステムを導入する=システムに業務を合わせていく、ということに高いハードルを感じています。
変化には痛みを伴います。業務をシステムに合わせて変更していく余裕が、時間的にも人員的にも足りないのです。
そもそも社内にIT担当者が専任でいないということもあり、システムを使いこなせないまま終わってしまうことも多いです。
業務に合ったシステムをオーダーメイドで開発することが、業務に対する負担も少ないので、社内に浸透しやすいのですが、
1から開発するのにはお金がかかりすぎてしまいます。
じゃあどうすればいいのか…。ここに1つの答えがあります。
それは、kintone(キントーン)です。
名前だけでも聞いたことがある方は多いのではないでしょうか?
kintoneを使えば、オーダーメイドでシステムを開発できる上に、利用料が安い。システムを外注するにしても開発費用が安いのです。
kintoneについて、より詳しい情報を知りたい方は以下をご一読ください。
弊社はkintoneを利用して、いいとこどりのシステムを開発しています。
しかも、弊社では補助金を絡めたkintoneの開発提案を行っており、さらに導入コストを下げることができます。
今なら、開発費用だけでなく、kintone自体のライセンス費用や保守費用も2年間の補助を受けることができるので、とてもオトクです。
業務に合ったシステムを安くで導入したい事業者様は、ぜひお問い合わせください!
DX事例(中小企業)
少し話を戻しまして、本記事では、中堅・中小企業に絞ってDXの事例をご紹介します。
※経済産業省のDXセレクションに関するサイトから抜粋しています。
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dx-selection/dx-selection.html
もりやま園株式会社(農業/青森県)
企業概要
弘前市で100年以上続くりんご農家。弘前市の約16%がりんご畑を占めているが、生産者の高齢化などにより、このままでは今後10年以内に半数の農家がりんご生産をやめていくといわれている。当社はりんご作りを通し、①農業を成長産業に変え、②マイナスをプラスに変え、③農業を知的産業に変える、を経営理念に掲げ、全社員、一致団結して働いている。
取組概要
青森県産りんご生産高を現状の1000億円から1300億円に増大させることを20年後の目標に据えている。
そのために、農作業の可視化が必須と考え、果樹に特化したクラウドアプリケーションの開発を進めた。そして農家の力では日本初の知的工業製品を実現させた。
このアプリケーションにより、今まで何となくな感じだった年間1万時間以上の作業の詳細が見える化し、品種による労働生産性の違いに気付けたり、全作業の約75%が剪定、摘果、着色のための摘葉など、廃棄するだけの作業に充てられていたこともわかった。
農業を持続可能にするにはこうした廃棄する作業をものづくりに転じて、労働生産性を現状の3.5倍以上にし、少なくとも全産業の平均値以上にしていかなくてはならないこともわかった。
そのために、これらの技術を活用し、地域生産者とのオープンイノベーションに取り組み始めている。
株式会社テック長沢(機械・部品製造業/新潟県)
企業概要
素形材の切削加工をコア技術に、自動車、エネルギー、印刷機、半導体、産業用設備など幅広い産業向けに、高品質な加工部品を提供している会社。
顧客の信頼を全ての基礎にして、地域や社会の発展に貢献しつつ、当社に関わる全ての人々の幸せを追求する。
取組概要
Tec Nagasawa DX Vision“テック長沢は、あらゆる業務プロセスに、デジタル技術やデータ分析を取り込むことによって「マネジメントの改革」「技術力のダントツ向上」を実現し、生産性を向上させ、経営理念の追求に寄与する。”を掲げ、経営者をトップとした部門横断組織によってDXを推進している。
ノーコードを使ったWebアプリケーション(自社開発)、製造現場のIoT(自社開発)、基幹システムのカスタマイズ(外部委託)、SaaSの積極活用の4方面から、製造現場とマネジメントの社内変革に必要な仕組みを適時導入している。
直近では、ノーコードで自社開発したタレントマネジメントシステムに、SaaSのタスク管理ツール、動画マニュアルを連携させて、教育訓練のPDCA全てにデジタルを活用した仕組みを構築し、全社的な技術力向上に取り組んでいる。
株式会社リョーワ(油圧装置メンテナンス業/福岡県)
https://e-ryowa.com/page1.html
企業概要
油圧装置の販売・修理・メンテナンスを手掛け、創業55年を迎える。昨今の様々な外的要因による電気駆動式への置き換え需要に伴い、自社の強みを活かしてAI外観検査システム市場に参入した。
タイ大学内LABOと同時開発できる環境を整備するなど社内DXを進めながら、新システムの開発・販売で製造業の生産性向上に寄与している。
取組概要
【デジタイゼーション】
・開発環境の見える化(GitHubの活用で日本とタイのグローバル開発の効率化)
【デジタライゼーション】
・新業務システム(見積・販売・給与・会計)導入によるデータ連携
・外観検査システムのサブスクリプションによる販売
【デジタルトランスフォーメーション】
・自社オリジナルのクラウドAI外観検査システム[CLAVI®]の開発(スマホやMRでの部品検査) ➡初期投資20万円、月2万円の低価格なクラウドAI検査システムのサービス提供
・MRを活用した油圧装置の遠隔メンテナンスサービス(2022年度より実証実験開始)
西機電装株式会社(製造業/愛媛県)
https://www.g-nishioka.co.jp/nishiki/company/
企業概要
造船所、製鉄所、港湾などで使用される各種大型クレーンについて、顧客からの仕様に基づき、電気室の筐体の設計から製造、制御盤を製造している企業。
ユニット型制御盤の一貫生産に対応できるのは、愛媛県では唯一。
取組概要
設計時の仕様変更が非常に多いため、適切な情報共有ができず、製造工程のやり直し、さらには、製品品質の維持にも悪影響を与えていた。
この課題を解決するために、kintoneを用いて解決に取り組んだ。kintoneは、自社でプログラミングを行うことで業務に合った効率的なシステムを短期間で開発することが可能で、業務の変化に応じて即座に改修することもできる。この取り組みの結果、情報の共有、工程管理の効率化を達成した。
また、製造現場におけるkintoneへのアクセス効率の向上のため、パソコンを使うことなく、ICカードやQRコードで簡単にkintoneへアクセス可能なIoTデバイスの試作も行った。
さらに、新居浜市IoT推進ラボ、サイボウズ社と連携して、弊社の一連の経験を新居浜市の製造業者に共有するためのワークショップを開催し、ある企業様からの依頼で、効率化システムのコンサルティングならびに開発を行うことになった。
これらの経験を生かして地域DX推進事業をビジネスとすることも目指している。
DXへのアプローチ方法
DXに関するアプローチは攻めのDXと守りのDXで変わってきます。
攻めのDXであれば、数年後になりたい会社のビジョンから逆算し、自社の強みや機会から、新製品や新サービスを開発することになります。
守りのDXであれば、業務やリスクの可視化が最も重要です。
弊社のご紹介
弊社は非IT企業のお客様に対して、DX推進(ITに関わること全般)の支援をさせて頂いております。
中小企業様でもご利用いただきやすいように、補助金を絡めながら、安く柔軟にオーダーメイドのシステムを作ることができるkintoneの開発などを行っています。
お気軽にご相談くださいませ。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
「参考になったよ~」という方は、ご意見やご感想をX(旧Twitter)で「いいね」や「リポスト(旧リツイート)」をして頂けますと、とても喜びます!
DXについて、あなたの理解がより一層深まりますように。
それでは、また。